更年期におけるカラダの変化や不調【薬剤師監修】

この記事は薬剤師監修によって書かれました

岡本 妃香里

2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。
大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。 2018年に退職し、その後はライター活動を開始。
現在は医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。
医療ライターとしてさまざまなジャンルの記事執筆を行っている。

女性のライフステージ

女性の人生は、4つのライフステージに分けられると言われています。
思春期
性成熟期
更年期
老年期

更年期による不調

このうち更年期は、とくにエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が急激に低下しやすい時期です。そのため、更年期になるとカラダにさまざまな変化が起こります。
更年期に起こるカラダの不調として知られているのが更年期障害です。更年期障害とは、更年期に現れる不調のうち、ほかの病気を伴わず日常生活に支障が出るものを指します。更年期は、エストロゲンの分泌量が変動しやすく、これによって不調が起こりやすいのです。
エストロゲンが不足すると、脳がエストロゲンをもっと分泌させようと指示を出します。しかし、更年期になると卵巣の機能が低下しているため、指示が出されてもエストロゲンは十分に分泌されません。その結果、脳が混乱を起こして不調を引き起こしてしまうというわけです。
更年期障害で見られる症状には、主に3種類あります。

・血管の拡張や放熱に関係する症状

ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など

・身体症状

めまい、動悸、頭痛、肩こり、冷え、疲労感、ドライマウス、皮膚や粘膜の乾燥など

・精神症状

気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠、不安など
ホットフラッシュや発汗、イライラなどはよく知られている症状です。

更年期障害は自覚するのが難しい

ところで、更年期になると誰もが更年期障害になるわけではありません。厚生労働省の調査によると、医療機関を受診して更年期障害と診断されたことがある方の割合は、40~49歳で3.6%、50~59歳で9.1%でした。
医療機関は受診していないものの更年期障害の可能性があると考えている方、更年期障害の可能性があると言われた方の割合は40~49歳で28.3%、50~59歳で38.3%という結果になっています。更年期症状を自覚している方のうち、日常生活への影響が「とてもある」「かなりある」と感じている方の割合は40~49歳で11.7%、50~59歳で6.9%です。 このように、更年期障害は更年期を迎えた一部の女性に見られます。日常生活に影響が出るほど症状がつらい方もいますが、適切な治療を受けている方はあまり多くありません。 更年期障害のほか、更年期になると月経周期の乱れも見られます。月経周期が短くなったり長くなったり、月経がだらだらと続いたりする場合は、カラダが閉経に向けて準備している可能性があるといえるでしょう。
症状が出ているにもかかわらず、更年期障害だと気が付かずにいろいろな科を転々と受診している方は珍しくありません。更年期障害という病気があることがそもそもまだあまり認知されていないのが実情です。不調を感じたら、更年期障害の可能性を疑って産婦人科や婦人科を受診したり、サプリメントなどを使ってケアを始めたりしましょう。