プラセンタの製法別をおすすめ順に解説【薬剤師監修】

プラセンタは、近年で大きく注目されるようになった成分です。
しかし、「プラセンタは本当に安全なの?」「胎盤を使うって大丈夫なの?」と不安に感じている方がいるのも事実でしょう。
なかには、プラセンタがどれくらい入っているのか分からないような商品もあります。

安心してプラセンタを使うためには、まずどのような製法で作られているのかを確認することが大切です。きちんとした製法で作られていないプラセンタだと、美容成分があまり含まれ
ていない可能性があります。

この記事は薬剤師監修によって書かれました

岡本 妃香里

2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。
大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。 2018年に退職し、その後はライター活動を開始。
現在は医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。
医療ライターとしてさまざまなジャンルの記事執筆を行っている。

プラセンタの製法〈おすすめ順〉

①分子分画法

分子分画法では、必要な成分のみを抽出することができます。医薬品であるプラセンタ(ラエンネック)は、分子分画法で作られたヒトプラセンタを原料とする製品です。慢性肝疾患における肝機能の改善に効果があります。プラセンタ(ラエンネック)は、次のような手順で作られています。

  1. 1.脱血・洗浄・細挫
  2. 2.アセトン脱脂
  3. 3.消化反応
  4. 4.デカント
  5. 5.pH調整
  6. 6.含量調整
  7. 7.無菌濾過
  8. 8.充填
  9. 9.高圧蒸気滅菌
  10. 10.包装

難しい手順に見えますが、ポイントは上澄みの一部を取り分けた状態で加水分解をし、後から上澄みを戻す点です。上澄み液にはサイトカインなどを含む低分子のタンパク質が豊富に含まれていると考えられています。

②加水分解

プラセンタ(メルスモン)もプラセンタ(ラエンネック)と同様に医薬品として用いられているヒトプラセンタです。
プラセンタの細胞膜を分解して成分を抽出する加水分解によって作られています。更年期障害や乳汁分泌不全に効能効果をもつ製品です。プラセンタ(メルスモン)は次の手順で製造されています。
  1. 1.脱血・洗浄・細挫
  2. 2.塩酸加水分解
  3. 3.塩酸蒸発
  4. 4.濾過
  5. 5.pH調整
  6. 6.含量調整
  7. 7.無菌濾過
  8. 8.充填
  9. 9.高圧蒸気滅菌
  10. 10.包装

プラセンタ(メルスモン)は、プラセンタ(ラエンネック)とはやや違う製法で作られているため、タンパク質は含まれていません。塩酸加水分解をする段階で、タンパク質がなくなるまで処理しているのです。そのため、アミノ酸やペプチドのみが含まれています。

③凍結融解法

馬プラセンタや豚プラセンタなど医薬品以外のプラセンタは、凍結融解法によって製造されているものがあります。低温処理したプラセンタを酵素によって分解させ、成分を抽出する方法です。大きな熱を加えないため、熱に弱い活性ペプチドや酵素などが破壊されることがありません。

④酵素分解

こちらも医薬品以外のプラセンタを製造するときに用いられている製法です。タンパク質分解酵素であるプロテアーゼを反応させて効率よくアミノ酸などの栄養成分を得るための製法です。ただし、活性をもつタンパク質やペプチドホルモンも同時に分解してしまうというデメリットがあります。

なお、医薬品のプラセンタの投与を受けている方は献血ができません。これは献血ができなくなるほどプラセンタに危険性があるというわけではなく、厚生労働省の指示により献血ができないように決められているのです。安全性に問題があるわけではないのでご安心ください。