ゲニステインの副作用【薬剤師監修】

ゲニステインは、アグリコン型イソフラボンの約50%を占める成分です。エクオールのように腸内細菌に代謝されることなくエストロゲン様作用を示すことから、ゆらぎやすい更年期の女性をサポートする成分として注目されています。
更年期に対して効果が期待されていることから、「多く摂れば摂るほど健康に良いのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、ゲニステインを過剰に摂取する状態が長く続くと、副作用が起こる可能性があることが分かっています。

この記事は薬剤師監修によって書かれました

岡本 妃香里

2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。
大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。 2018年に退職し、その後はライター活動を開始。
現在は医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。
医療ライターとしてさまざまなジャンルの記事執筆を行っている。

ゲニステインの副作用

乳がん

乳がんは、エストロゲンの働きで成長するがんです。ゲニステインにはエストロゲン様作用があるため、過剰摂取を続けていると乳がんのリスクを高める可能性があります。一部の研究ではゲニステインを摂取することで乳がんのリスクが低下したとの結果も出ていますが、げっ歯類や細胞を使った研究ではゲニステインが乳がんの進行を促進するという結果が出ています。

肝がん

約2万人の男女を12年間にわたり追跡したところ、101人が肝がんと診断されました。イソフラボンや大豆製品が肝がんの発症にどのように関わっているのか調べると、イソフラボンの摂取量が多い女性で肝がんのリスクが高くなることが分かっています。

女性ホルモンへの影響

ゲニステインにはエストロゲン様作用があることから、過剰摂取を続けることで女性ホルモンの濃度に影響が出たり、月経周期を延長させたりする可能性があるといわれています。

サプリメントは摂取目安量を守りましょう

ゲニステインを使用したからといって、すべての方にこのような副作用が見られるわけではありません。しかし、過剰摂取を長期間にわたって続けると乳がんや肝がんなどのリスクを高める恐れがあります。食事から摂取する量であればとくに問題ないと考えられますが、サプリメントなどを使用する場合は過剰摂取にならないよう、摂取目安量を必ず守って使用しましょう。


なお、妊婦や授乳婦、乳がん患者の場合は医師に相談してからゲニステインを摂取するようにしてください。ゲニステインにはエストロゲン様作用があるため、胎児の発育に影響したり乳がんのリスクを上昇させたりする可能性があります。
また、大豆イソフラボンは母乳中に移行することも明らかです。乳幼児にどのような影響があるのかについてはまだ明らかにはされていないため、できるだけ摂取を避けたほうがよいでしょう。このほか、大豆イソフラボンの成分が医薬品と相互作用を起こすこともあります。薬を服用している方は、医師や薬剤師に相談してからゲニステインを摂取するようにしてください。