ゲニステインと更年期【薬剤師監修】

ゲニステインは、更年期症状の改善に役立つと期待されている成分です。閉経する前後の5年間、合計10年間を更年期と呼んでいます。
更年期障害とは、この時期に起こるほかの病気に起因しないさまざまな症状があり、日常生活に支障が出る状態のことです。人によって症状は異なりますが、更年期障害では次のような症状が見られることがあります。

この記事は薬剤師監修によって書かれました

岡本 妃香里

2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。
大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。 2018年に退職し、その後はライター活動を開始。
現在は医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。
医療ライターとしてさまざまなジャンルの記事執筆を行っている。

主な更年期症状

身体的症状

  • ほてり
  • のぼせ
  • ホットフラッシュ
  • 発汗
  • めまい
  • 動悸
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 関節痛
  • 倦怠感

精神的症状

  • 気分の落ち込み
  • 意欲の低下
  • イライラ
  • 情緒不安定
  • 不眠

更年期症状の原因

更年期障害が起こるのは、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌量が大きくゆらぎながら低下していくことが大きく関係しているといわれています。
エストロゲンの減少が更年期障害の原因となるため、ホルモン補充療法といってエストロゲンを少量だけ補う治療が行われることも少なくありません。
しかし、人によってはホルモン補充療法を行うことで不正出血や乳房の張り、下腹部の張りや吐き気などの副作用が出てしまうことがあります。

注目されるゲニステイン

そこで注目されているのが、大豆イソフラボンの一種であるゲニステインです。ゲニステインを摂取することでエストロゲンの分泌が促され、更年期障害の症状が改善されると期待されています。
ある研究によると、ゲニステインには更年期に起こるホットフラッシュの症状を改善する効果があることが分かりました。また、不安や気分の落ち込みなどの症状を改善する効果があるとも報告されています。

日本人を対象に6年間にわたって行われた研究では、大豆を摂取することで研究開始前よりもホットフラッシュの発生率が大幅に減少したことも分かっています。
また、更年期の女性を対象に12週間にわたってゲニステイン(30mg)またはプラセボを投与する研究も行われました。 プラセボを投与したグループではほてりの改善が27%だったのに対して、ゲニステインを投与したグループではほてりが51%減少したことから、ゲニステインがほてりの改善に有効であることも示されています。
なお、更年期にあらわれるほてりの症状をゲニステインが軽減するメカニズムについては、まだはっきりとしたことが分かっていません。現時点では、ゲニステインが細胞内に入り、ゲノムメカニズムを介して効果を発揮しているのではないかと考えられています。これらの研究から、ゲニステインは更年期の症状を軽減するのに役立つ成分であるといえるでしょう。