ゲニステインの効果【薬剤師監修】

ゲニステインは、大豆イソフラボンの一種です。女性ホルモンの一つであるエストロゲンと似たような化学構造をもっていることから、女性ホルモン様作用があることが分かっています。
ここでは、ゲニステインがもつ効果について詳しく見ていきましょう。

この記事は薬剤師監修によって書かれました

岡本 妃香里

2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。
大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。 2018年に退職し、その後はライター活動を開始。
現在は医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。
医療ライターとしてさまざまなジャンルの記事執筆を行っている。

ゲニステインの効果

更年期症状を軽減

更年期症状として良く知られているのがホットフラッシュです。
アジアの女性では、20~25%が閉経後にホットフラッシュを経験しているといわれています。大豆製品の摂取量とホットフラッシュの関係性について日本人女性を対象に調べた研究では、大豆製品を摂取することでホットフラッシュの発生率が大幅に低下することが分かりました。
また、12週間にわたりゲニステイン30mgを投与した研究では、プラセボ群ではほてりが27%減少したのに対してゲニステイン群では51%の減少が見られています。

心臓を保護

冠動脈閉塞を起こしているラットを用いて体重1kgあたり1mgのゲニステインを静脈内に投与したところ、心筋壊死や心室性不整脈の発生が減少し、心筋収縮力が増加することが分かりました。このことから、ゲニステインは心臓の健康を維持する働きがあると期待されています。

肥満の予防

閉経後はエストロゲンの分泌量が少なくなり、炭水化物と脂質の代謝に変化が起こることで肥満になりやすくなります。ゲニステインは、炭水化物と脂質の代謝を誘導する働きがあることから、体重の減少に効果があることも明らかです。
また、脂肪組織を調節して脂肪細胞が脂肪を生成するのを抑え、さらに脂肪分解を促進することも分かっています。

糖尿病の改善

閉経後の女性は、糖尿病を発症しやすくなります。これは、女性ホルモンの分泌量が減少してインスリンの効きが悪くなるためです。1日あたり54mgのゲニステインを6か月、12か月、24か月にわたって投与したところ、空腹時の血糖値が低下しました。
また、2型糖尿病がある閉経後の女性に植物エストロゲンを12週間投与したところ、空腹時のインスリンとインスリン抵抗性の減少がすることが確認されています。

気分の落ち込みや不安感を抑制

閉経後の女性は、エストロゲンなどのホルモン分泌が減少するため、不安やうつ症状などがあらわれることがあります。ゲニステインは、ヒトと動物の両方で抗うつ作用と抗不安作用を示しました。
また、ゲニステインを体重1kgあたり10mg投与したところ、抗うつ薬として使われるアミトリプチリンと同等の効果が得られることも分かっています。