更年期に手のこわばりを感じたら?知っておきたい原因とセルフケア

2025.11.05
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「手がこわばるのは、更年期だから仕方ないのかな?」と思っていませんか?

手がこわばると、ものが持ちにくかったり、力が入りにくかったりと不便に感じますよね。更年期の手のこわばりは、女性ホルモンの変化による症状のひとつです。

食事を見直したり、サプリメントや漢方を取り入れたりすることで、症状が和らぐこともあります。

今回は、更年期に手がこわばる原因とセルフケアについて解説します。

更年期の手のこわばりとは

更年期に入ると、朝起きたときに手や指の関節がこわばって動かしにくく感じることがあります。更年期と聞くと、動悸やホットフラッシュ、不安やイライラなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実際には手のこわばりや関節痛に悩む方も少なくありません。

更年期の手のこわばりは、エストロゲンの減少による関節症状ですが、変形性関節症や関節リウマチの可能性もあります。いずれも更年期の年代に発症しやすく、朝のこわばりが特徴的です。

ヘバーデン結節やブシャール結節といった変形性関節症は、エストロゲンの減少によって滑膜(関節を包む膜)が厚くなることで起こります。
一方、関節リウマチは、エストロゲンの減少により炎症を抑える働きが弱まり、滑膜が厚くなり続けて関節が慢性的に腫れる病気です。

※へバーデン結節:指の第1関節が腫れる変形性関節症
※ブシャール結節:指の第2関節が腫れる変形性関節症

手のこわばりが更年期にみられる原因

手のこわばりが更年期にみられるのは、エストロゲンの分泌量が20代と比べて1/10にまで減少してしまうことが影響しています。

エストロゲンはエストロゲン受容体(ER)に結びついて働きます。受容体にはERαとERβの2種類があり、特に滑膜(関節を包む膜)に多く存在するのがERβです。ERβに結びつくエストロゲンが減少すると、滑膜が厚くなり、身体が重く感じたり、手がこわばったりすることがあります。

また、エストロゲンの減少によって、関節をスムーズに動かす関節液が減少したり、指の血流が悪くなって手全体がむくんだりすることで、動かしにくさを感じることもあります。

更年期の手のこわばりの治し方|セルフケアで和らげる方法

「手のこわばりは気になるけど、いきなり受診するのは少し気が引ける…」と感じている方も多いのではないでしょうか。

まずは、セルフケアで少しでもラクになったらうれしいですよね。

大豆製品やサプリメントでエストロゲンの働きを補うと、こわばりが和らぐことがあります。
また、血流を良くしたり、リラックスする時間を持ったりすることも、症状の軽減につながります。

ここでは、今日から始められるセルフケアをご紹介します。

大豆製品を意識する

大豆イソフラボンは、腸内で代謝されると「エクオール」という成分になり、エストロゲンに似た働きをします。エクオールを体の中で作れるかどうかには個人差がありますが、豆腐・納豆・みそ汁・豆乳などの大豆食品を日常的に摂ることで、エクオールを作りやすい体質を保つことが期待できます。

毎日の食卓に大豆食品を取り入れることは、更年期の手のこわばりを和らげるだけでなく、栄養バランスを整えるためにもおすすめです。

エクオールを取り入れる

エクオールのサプリメントを活用するのも一つの方法です。エクオールは滑膜(関節を包む膜)に多く存在するERβに結びつき、エストロゲンに似た作用を穏やかに示すことで、こわばりなどの関節症状を和らげることが期待できます。

エクオールは食品中の大豆イソフラボンから作られますが、実は日本人女性の約半分は産生できません。サプリメントを利用すれば効率的に摂取でき、大豆食品が苦手な方も手軽に取り入れられるのがメリットです。
ただし、大豆アレルギーの方は使用を避けてください。

体をほぐしてリラックスする

エストロゲンが減少すると、指の血流が悪くなり、手全体のむくみを感じることがあります。マッサージや入浴で血流を良くすることで、手の動かしにくさの軽減が期待できます。

また、ストレスがかかるタイミングでこわばりが出る場合もあるため、リラックスすることも大切です。趣味の時間を楽しむ、ゆったりと過ごす、深呼吸を取り入れるなど、自分なりのリラックス方法を見つけましょう。おすすめはストレッチ。ストレッチは、関節の痛みを和らげたり、気分をリフレッシュしたりする効果があることがわかっています。

漢方を活用する

市販の漢方薬を取り入れてみるのも一つの方法です。

手のこわばりなどの関節症状によく使われているのは、以下の漢方薬です。

    • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
    • 桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)
    • 桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)

ただし、複数の漢方薬を同時に服用する際は、同じ生薬が重複していないか注意が必要です。たとえば「甘草(かんぞう)」という生薬は多くの漢方薬に含まれており、摂取量が多くなると血圧上昇やむくみの原因になることがあります。

手のこわばりが続く場合は早めに受診を

「更年期だから仕方ない」と思っていても、変形性関節症や関節リウマチが隠れている場合があります。症状が続く場合は、自己判断せずに早めに受診しましょう。変形性関節症の場合、治療しないと関節が変形してしまい、生活に支障をきたすことがあります。

また家族に変形性関節症を発症した方がいる場合は、ご自身も発症しやすい傾向があります。気になる方は、ご家族の症状を確認してみるのもよいでしょう。

一方で、こわばりや痛みが強い、左右の手が痛む、痛い場所が移動する、といった症状があれば、関節リウマチの可能性も考えられます。関節リウマチは発症から最初の1年で関節の破壊が急速に進むため、早めの治療がとても重要です。

気になる症状がある場合は、整形外科を受診しましょう。もしホットフラッシュなど他の更年期症状もある場合は、婦人科に相談してみるのがいいかもしれません。

まとめ|無理せずできるセルフケアで更年期を乗り越えましょう

更年期の手のこわばりには、エストロゲンの減少とストレスが関係しています。
大豆製品やエクオールサプリメントを取り入れたり、ゆっくりリラックスできる時間を作ったりして、無理のない範囲でケアを続けていきましょう。

手のこわばりが長引いたり、痛みや腫れが出たりした場合は、「年齢のせいだから」と我慢せず、早めに受診することが大切です。エストロゲンを補う治療をすれば楽になることもあります。変形性関節症や関節リウマチの可能性もあるため、気になる症状があるときは整形外科や婦人科に相談してみてくださいね。

記事監修

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【薬剤師】もも
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