更年期の症状は誰にでも起こる？【薬剤師監修】

更年期とは、閉経の前後5年間を合わせた10年間のことです。閉経の時期には個人差があり、40歳台前半の方もいれば50歳台後半になることも。時期に差はあっても閉経そのものはどなたにも訪れるため、更年期を経験する方は多いといえます。日本人の平均的な閉経年齢は約50歳とされ、おおよそ45歳から55歳頃が更年期にあたる年代です。

この時期にみられる症状のうち、ほかの病気が関係せず日常生活に影響が出る程度のものを「更年期障害」と呼ぶことがあります。

更年期障害の割合

更年期障害は、誰が発症してもおかしくないとされています。ただし、更年期に入ったすべての女性が更年期障害を発症するわけではありません。厚生労働省の調査によると、医療機関を受診して更年期障害と診断された経験がある方の割合は、40～49歳で3.6％、50～59歳で9.1％でした。数字だけを見ると、診断を受けている方は多いとは言えない状況です。

一方で、「自分は更年期障害の可能性がある」と考えている方の割合は、40～49歳で28.3％、50～59歳で38.3％でした。これらを比べると、更年期障害は誰にでも起こりうる可能性がある一方で、実際に診断に至る方は一部に限られていることが分かります。

更年期症状は人によってさまざま

エストロゲンの変化による影響

更年期になると、女性ホルモンの一つであるエストロゲン（卵胞ホルモン）の分泌量が大きくゆらぎながら低下していきます。すると、脳はエストロゲンをさらに分泌するよう指令を出しますが、卵巣の機能が低下しているため十分に分泌されません。この状態が続くことで脳が混乱し、ホルモンや自律神経のバランスが乱れ、ほてりやのぼせなどの更年期症状につながるとされています。

エストロゲン以外の要因

エストロゲンのゆらぎ以外にも、環境によるストレスや性格などが関与するといわれています。真面目で神経質な方、完璧主義の傾向がある方は、更年期障害が起こりやすいとされることも。仕事・子育て・介護といった負担も、更年期の症状に影響すると考えられています。

このように複数の要因が重なるため、症状が出る方とほとんど出ない方がいるなど、個人差が大きいのです。

症状と向き合うために

更年期障害になったからといって、つらい症状を抱え込んだまま過ごす必要はありません。「更年期だから仕方ない」と諦めず、対策を始めることが大切です。

婦人科では、ホルモン補充療法や漢方薬、向精神薬などを用いた治療が行われることがあります。また、サプリメントを取り入れ、ゆらぎやすい時期をサポートする方法を選ぶ方もいます。

まとめ

更年期は誰にでも訪れる時期ですが、症状の有無や強さには大きな個人差があります。エストロゲンのゆらぎだけでなく、ストレスや性格など複数の要因が関わるためです。そのため、診断を受ける方は一部に限られる一方で、可能性を意識する方は一定数います。

こうした幅の大きさこそが更年期の特徴であり、症状があってもなくても「個人差の範囲」と捉えられます。つらさを感じた場合は婦人科に相談したり、サプリメントを取り入れたり、「諦める」以外の選択肢があることをお忘れなく。無理せず、自分に合った向き合い方を選ぶことが大切です。