更年期の症状とエクオール【薬剤師監修】

女性の体は、年齢とともにホルモンバランスが変化していきます。
特に40代後半から50代にかけては、エストロゲン（卵胞ホルモン）の分泌が大きくゆらぎやすくなり、心や体にさまざまな変化があらわれることがあります。

この時期にあらわれる「ほてり」「イライラ」「疲れやすさ」などの不調は、更年期にともなうものもあるといわれています。
そして、こうしたゆらぎを穏やかにサポートすると注目されているのが、大豆由来の成分「エクオール」です。

今回は、更年期に起こる主な症状と、その対策として期待されるエクオールの関係についてご紹介します。

更年期の症状

閉経する前後の5年間、合計で約10年間を「更年期」と呼びます。
この時期は、女性ホルモンの一種であるエストロゲン（卵胞ホルモン）の分泌量が大きくゆらぎながら減少していくため、心身にさまざまな変化が起こりやすくなります。

人によっては、日常生活に支障をきたすほど症状が強く出ることもありますが、原因や対処法が分からず、つらいまま過ごしている方も少なくありません。

更年期にあらわれる不調は、ホルモンの変化だけでなく、生活環境やストレスなども影響するといわれています。
主な症状は、大きく次の3つに分類されます。

血管の拡張や放熱に関連する症状

体温のコントロールが不安定になり、急に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなったりすることがあります。
代表的なものに、ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ（急な発汗）などがあります。

身体的な症状

頭痛、肩こり、腰痛、関節の痛みのほか、めまい、動悸、冷え、しびれ、疲れやすさなどがみられます。
日によって症状の強さが変わるのも特徴のひとつです。

精神的な症状

気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠など、心の不調があらわれることもあります。
こうした症状は、ホルモンバランスの変化に加えて、生活リズムの乱れや社会的ストレスが関係していると考えられています。

エクオールの働き

更年期の時期には、心や体にさまざまな変化があらわれます。
そのような変化にやさしく寄り添う成分として注目されているのが、エクオールです。

エクオールは、大豆イソフラボンに含まれるダイゼインが腸内で代謝されることで生まれます。
古くから大豆イソフラボンには、女性の健やかさを支える働きがあるといわれていますが、その中心的な役割を担っているのがエクオールです。

更年期にみられる不調の一因は、エストロゲン（卵胞ホルモン）の分泌がゆらぎながら減少していくことにあります。
エクオールはエストロゲンに似た構造をもち、内側から女性のリズムやバランスを整えるサポート成分として期待されています。

エクオールの研究結果

エクオールについては、さまざまな研究でその可能性が報告されています。
中でも、更年期の代表的な症状のひとつであるホットフラッシュとの関係に注目が集まっています。

ホットフラッシュとは、顔や胸元が突然熱くなり、顔が赤くなったり、汗を多くかいたりする症状のことです。
暑くない状況でも急に汗が出ることがあり、多くの女性がこの不快感に悩まされています。

エクオールを12週間にわたり摂取した研究では、ホットフラッシュの頻度が平均して1日あたり約2回減少したという報告があります。
また、別の研究では、1日に5回以上のほてりを経験する閉経後の女性を対象に8週間エクオールを摂取してもらったところ、摂取しなかったグループと比べてほてりの頻度が大きく減少したとされています。

大豆イソフラボンを摂取したグループでも同様の傾向がみられましたが、エクオールを摂取したグループのほうが変化の幅が大きかったという結果が報告されています。

これらの研究から、エクオールは更年期にあらわれるホットフラッシュやほてりの不快感を、より穏やかに保つサポート成分として注目されていることがわかります。

まとめ

更年期には、エストロゲンの分泌量が変化することで、ほてりや発汗、気分の変化などさまざまな症状があらわれます。
こうした不調に対して、女性の健やかさを保つためのサポート成分として注目されているのがエクオール。

研究では、エクオールを摂取したグループでホットフラッシュの頻度が減少したとの報告もあり、大豆イソフラボンに比べても変化の幅が大きいことが示されています。

食事や生活習慣を見直しながら自分の体の変化に合わせたケアを意識することが、更年期を心地よく過ごすための第一歩といえるでしょう。